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動向情報

中国の「ごみゼロ」都市の開発

2020年3月12日

2020年3月3日

この記事では、中国の廃棄物管理についての近年の動向について説明します。 

2019年末の時点で、中国の200の大都市及び中都市では15億5000万トンの一般産業廃棄物と 4,640.3万トンの有害産業廃棄物を排出し[1]、それぞれ2018年と比較すると18.3%増及び15.8%増となりました[2]。この膨大な廃棄物の量は一般市民にとっては脅威となっており、そのため中国は「ごみゼロ都市」の概念を導入してこの問題に対処することを決定しました。「ごみゼロ」都市のコンセプトには、固形廃棄物の100%リサイクルや廃棄物資源の100%回収などがあります。しかし、現在の消費過剰な都市を「ごみゼロ」都市へ転換することは容易ではありません。そのため、本文では主にこの厳しい問題に取り組むために中国政府が実施しようとしている(またはすでに実施している)政策と、それらがどの様に中国に拠点を置く企業のビジネスに影響を及ぼす可能性について言及します。

パイロットモデル都市: それは将来の姿?

遡ること2019年初旬、中国の国家評議会は「ごみゼロ」都市のパイロット建設プロジェクト(「无废城市」建设试点工作方案)のための作業計画書を発表しました。作業計画では、資源消費の削減、固形廃棄物の資源活用、埋立数の最小化、固形廃棄物が環境エコ都市開発に与える環境影響の最小化を継続的に推進することを目指しています。それにより、2019年4月30日に生態環境部は、「ごみゼロ」のための11のパイロットモデル都市建設を発表しました。それには、北京の経済技術開発区(北京经济技术开发区 ) 、天津エコシティ(中新天津生态城)、広東省深セン市、さらに内蒙古自治区包頭が含まれています。「ごみゼロ」パイロット都市に所在する企業は、2020年12月までに市の行政機関がごみの防止や管理に関する政策や対策を発表することを想定すべきでしょう[3]。予想される今後の政策の狙いとしては以下があります:

  • 産業廃棄物排出率の削減強化
  • 産業固形廃棄物の総合的な使用率の向上
  • 産業固形廃棄物の総貯蔵量の管理
  • グリーン設計、グリーンサプライチェーンの確立、拡大生産者責任、または生産施設集中都市におけるグリーン設備の推進
  • 有害廃棄物の排出、輸送、使用、及び処分に対する監視を強化

このプロセスにおける最初のステップとして、中国は固形廃棄物全般の輸入を削減、企業に対する管理要件強化による固形廃棄物の輸入制限、また、固形廃棄物による汚染を防止・規制するための政策を施行しています。

今後輸入できない固形廃棄物の種類

固形廃棄物の輸入管理を強化するために、生態環境部は輸入管理対象廃棄物リストの調整に関する通知(关于调整《进口废物管理目录》的公告)[4]を2018年7月1日付けで発行しました。2019年7月1日時点で、8種類の固形廃棄物(廃スチール、銅廃棄物や銅屑、廃アルミやアルミ屑など)は、輸入制限対象の原料として使用可能な固形廃棄物のリスト( 限制进口类可用作原料的固形废物目录)から輸入禁止固形廃棄物のリストへ移管されています。

固形廃棄物の輸入について新規制を実施

2018年8月1日以降、中国は原料として利用できる固形廃棄物を輸入している企業に対し、中華人民共和国海関総署に登録するよう要請しています。また企業は、輸入した固形廃棄物に関し、出荷前に指定機関による検査を受ける必要があります[5][6][7][8]。2019年1月1日以降は、固形廃棄物を中国に輸入する企業は指定港でのみ通関手続きが可能となっています。すなわち、中国政府は固形廃棄物の輸入港を限定しています。

国内では固形廃棄物を防止・管理改正案

国際的に輸入制限を実施するのに加え、中国国内では固形廃棄物による環境汚染の防止及び管理のための対策を講じています。例えば、中国政府は産業廃棄物を含む固形廃棄物の管理と監視を強化するため、固形廃棄物の環境汚染防止と管理法を改訂しようとしています。固形廃棄物の環境汚染防止と管理法(改正案)は、全国人民代表大会の常任委員会にて審査されました(2019年7月時点)[9]

改正案では、以下の方法により固形廃棄染防止、管理監視及び監督システムを改善するとしています:

  • 固形廃棄物汚染の防止と管理の信用度記録 (信用记录) システムを導入し、違反事案を https://www.creditchina.gov.cn/ (国家信用情報プラットフォーム)で開示する。
  • 今後海外の国・地域より廃棄物を輸入しない目標を設定
    また、
  • 規制当局(一般的に生態環境局を指す)が、違法な固形廃棄物や関連機器などについて強制手段により封鎖(查封) や差し押さえ (扣押)することを許可する。

 第二に、改正案では以下の方法により産業廃棄物の排出防止と管理が強化されます:

  • 産業廃棄物を排出する施設に対し、プロセス全体での環境汚染防止責任システムの確立・汚染管理台帳(台账)の維持・廃棄物の輸送、使用、処理業者の資格と技術的能力の確認を要請する。  
  • 産業廃棄物を排出する施設に対し、汚染物質排出許可証(污许可证排 ) を取得し、その許可証に基づいて廃棄物を管理するよう要請する。
  • 施設に対し、クリーン生産審査の実施により産業廃棄物排出量を低減するよう要請する。

中国生態環境部は、2019年に汚染物質排出許可証の申請・発行のための技術基準を産業タイプごとに発行しました。その数は2020年にはさらに増える予定です。例えば、

  • 産業固形廃棄物と有害廃棄物の保管、リサイクル、処理、廃棄汚染許可申請及び発行のための技術基準 (HJ 1033-2019):2019年8月13日発効
  • 廃棄物資源加工業の汚染許可申請及び発行のための技術基準(HJ 1034-2019):2019年8月13日発効
  • 食品製造業(コンビニ食品製造業、食品・飼料添加物製造業)の汚染許可申請及び発行のための技術基準 (HJ 1030.3-2019):2019年8月13日発効
  • 無機化学工業の汚染許可申請及び発行のための技術基準 (HJ 1035-2019):2019年8月13日発効
  • ポリ塩化ビニル(PVC)産業の汚染許可申請及び発行のための技術機銃ん(HJ 1036-2019):2019年8月13日発効
  • 木質パネル産業の汚染許可申請及び発行のための技術基準(HJ 1032-2019):2019年7月24日発効
  • 電子工業産業の汚染許可申請及び発行のための技術基準 (HJ 1031-2019):2019年7月23日発効

中央政府だけでなく、すべてのレベルの行政機関が固形廃棄物の排出防止及び管理に取り組んでいます。例えば包頭市では、リアルタイムでの監視と管理を実現するため[10]、2020年にオンライン固形廃棄物監視プラットフォームを設置することを計画中です。オンラインプラットフォームは一般産業廃棄物と有害廃棄物の両方に適用されており、特に大量の産業固形廃棄物(大宗工业废固体物)をカバーしています。プラットフォームのねらいは以下の通りです:

  • 飛灰、溶融スラグなどの一般的な産業廃棄物の有効利用と処分については、クローズドループにて行う
  • 排出から廃棄に至るまでの有害廃棄物の全工程を監視する
  • 大量の産業固形廃棄物の取引基盤を強化する

サマリー

世界が持続可能な発展の方向に歩みを進めるなか、責任ある効果的な廃棄物管理は中国にとって主要な課題の1つとなります。ごみゼロ循環型経済への移行は、依然として抜本的な改善と、さらには新たなビジョンを必要とする大きなチャレンジとなっています。中国政府は現在、環境に配慮した発展を強調した第14次5ヵ年計画(“十四五”规划)に取り組んでいます。そのため、「ごみゼロ」都市の実現は、固形廃棄物の排出を最小限に抑え、また都市エリアでリサイクルを最大限に行うための良いスタートとなるという強い信念があります。固形廃棄物の環境汚染防止と管理法が改正されると、企業は、新たに行政手続きが課され事業運営に制限を加わることで、さらに固形廃棄物汚染を防止・管理する必要に迫られることになるでしょう。法令違反を一般市民へ開示することも国民の関心を生む良い事例となるでしょう。

中国に拠点を置く企業は、ここで述べたパイロット「ごみゼロ」都市や規制管理改正案などの固形廃棄物を制御するための新しい取り組みが、今後10年間で廃棄物を削減する中国の本気度の表れであると認識する必要があります。

 

Wanjing Lu, Enhesa EHS Regulatory Consultant

日本語版 髙山直子 日本エンヘサ株式会社

 

脚注

[1] 2019年全国大規模・中規模都市固形廃棄物汚染防止及び管理年次報告書(生態環境部 2019年12月31日)、オンラインで入手可能:http://www.mee.gov.cn/ywgz/gtfwyhxpgl/gtfw/201912/P020191231360445518365.pdf (2020年1月15日にアクセス)

[2] 2018年全国大・中規模都市固形廃棄物汚染防止及び管理年次報告書(生態環境部 2019年1月2日)、オンラインで入手可能:http://www.mee.gov.cn/hjzl/sthjzk/gtfwwrfz/201901/P020190102329655586300.pdf (2020年1月15日にアクセス)

[3] パイロット「ごみゼロ」モデル都市の実施計画作成と「ごみゼロ」都市建設のためのインデックス方式についてのガイダンス(生態環境部 2019年5月8日)、オンラインで入手可能http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk06/201905/t20190513_702598.html (2020年1月15日にアクセス)

[4] 輸入規制の対象廃棄物リストの調整に関するお知らせ(生態環境部 2018年12月25日)、オンラインで入手可能http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/201812/t20181227_687488.html (2020年1月15日にアクセス)

[5] 出願承認(初回バッチ)済み、原料として輸入する固形廃棄物の出荷前検査実施機関リスト(海関総署 2018年11月7日)、オンラインで入手可能http://www.customs.gov.cn/customs/302249/zfxxgk/gkml287/index.html?callbackUrl=/tabid/1165/InfoID/32270/Default.aspx (2020年1月15日にアクセス)

[6] 出願承認(第2バッチ)済み、原料として輸入する固形廃棄物の出荷前検査実施機関リスト(海関総署 2019年1月2日)、オンラインで入手可能http://tianjin.customs.gov.cn/customs/302249/302266/302267/2167823/index.html (2020年1月15日アクセス)

[7] 出願承認(第3バッチ)済み、原料として輸入する固形廃棄物の出荷前検査実施機関リスト(海関総署 2019年6月26日)、オンラインで入手可能http://www.customs.gov.cn/customs/302249/zfxxgk/gkml287/index.html?callbackUrl=/tabid/1165/InfoID/36145/Default.aspx (2020年1月15日アクセス)

[8] 出願承認(第4バッチ)済み、原料として輸入する固形廃棄物の出荷前検査実施機関リスト(海関総署 2019年11月28日)、オンラインで入手可能http://www.customs.gov.cn/customs/302249/zfxxgk/gkml287/index.html?callbackUrl=/tabid/1165/InfoID/36145/Default.aspx (2020年1月15日アクセス)

[9] 固形廃棄物の環境汚染防止と制御法(改正案)
(全国人民代表大会の常任委員会 2019年7月5日)、オンラインで入手可能http://www.npc.gov.cn/npc/c36715/25844.shtml (2020年1月15日アクセス)

[10] 包頭市の「ごみゼロ」の街建設の推進、オンラインで入手可能http://www.mee.gov.cn/home/ztbd/rdzl/wfcsjssd/sdjb/201907/t20190715_710679.shtml (2020年1月15日アクセス)

 

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