CSRDについて最もよく聞かれる4つの質問

画期的なCSRD によって、企業には詳細なESGデータとともに今後より多くの法的要件が課せられるようになります。誰が、何を、いつ、どのように行うかを分析します。

by Paula Galbiatti Silveira & Beatriz García Fernández-Viagas

とうとうCSRDが現実となりました。EUが採択し、正式に発行した企業サステナビリティ報告指令(CSRD)は、ESG及びサステナビリティ報告要件の再構築であると言えます。CSRDはEUの企業だけを対象としたものではありません。 CSRDは2022年12月16日に発行され、今年1月第1週に施行されます。 加盟国はその後18か月の間に採択された要件を国内法に転換する必要があります。 CSRD によって、環境、社会、ガバナンスの問題に関する企業の報告方法が急変することが予想されます。本稿では、どのような変更が予想されるのか、そしてそれが企業にとって何を意味するかを考察します。

CSRDがもたらす変化

CSRDは、既存の非財務情報開示指令(NFRD)の適用範囲を拡大することにより、サステナビリティ報告を改善することを目的としています。それらを文字通り詳細に規定するものです。

本指令は、事業者に拡大された報告義務を課すだけでなく一般的なEU全域にわたる監査義務も定めています。これは、報告されるサステナビリティに関する情報が正確で信頼できることを保証するため、サステナビリティ報告書は認証されなければならないことを意味します。

要するに、EUは、環境、社会、ガバナンスの問題に関するより詳細で、かつ独立して監査されたかあるいは認証されたデータを求めるようになるということです。

CSRD対象企業

CSRDはNFRDの対象範囲を拡大しており、以下を含むより多くの企業に詳細な要件を導入します。

  • EUの大企業(従業員250人以上、純売上高4,000万ユーロ)
  • EU規制市場に上場している企業(上場零細企業を除く)
  • 上場中小企業(SME)
  • EUで1億5000万ユーロ以上の純売上を上げ、EUに少なくとも1つの子会社/支店を有する非EU企業

このようにCSRDはEU本社の企業だけでなく、同地域で事業を行う特定の企業にも詳細な報告を求めるものです。

強制報告基準ESRS

CSRDが、特定の事業者にESGの課題に関し報告することを義務付けるとすると、欧州財務報告諮問グループ(European Financial Reporting Advisory Group、略称EFRAG)は、それをどのように報告するかを義務付けます。CSRDは強制基準に基づくサステナビリティ報告を義務付ける初めてのEU指令です。

2022年11月23日、EFRAGはサステナビリティ報告基準案の第一弾として欧州サステナビリティ報告基準(European Sustainability Reporting Standards、略称ESRS)を提出しました。最初の草案は12のESRSからなり、横断的な基準(一般的な要求事項及び一般的な開示に関するもの)と具体的なトピックを取り扱うもの、例えば気候変動、資源及び循環経済、バリューチェーンにおける労働者、消費者とエンドユーザー、企業行動などのテーマで構成されています。欧州委員会は、2023年6月30日までに委任法によって最初のESRSを採択するとしています。

今後数か月で、EFRAGは、さらに鉱業、エネルギー生産、繊維など、2つのセクター別のESRS(具体的には、GRIが対象とするセクター)を策定する予定です。

施行の時期

CSRDに基づき、企業は以下の日付以降、上記の基準に従ってサステナビリティに関する事項を報告しなければなりません。

  • 2025年(2024年会計年度に関する報告):従業員数が500人を超える大規模企業ですでにNFRDの対象となっている場合
  • 2026年(2025年度の報告):現在NFRDの対象となっていない大企業であり、従業員数が250人を超え、かつ/または4000万ユーロの売上高かつ/または2000万ユーロの総資産を有する場合
  • 2027年(2026年会計年度に関する報告):上場中小企業、小規模で非複雑な信用機関またはキャプティブ保険会社の場合
  • 2029年(2028年会計年度に関する報告): EUで純売上高が1億5000万を超える第三国企業であり、EUに少なくとも1つの子会社または支店がある場合

貴社の事業が上記のプロファイルのいずれかに該当する場合、報告すべき問題の範囲と必要な検証レベルを考慮すると、最初の報告には相当な労力を要すると覚悟しなければならないかもしれません。

どのようにCSRDを進めるか

CSRDが公表され、ESRSが間もなく承認されると、次は加盟国の動向に注視する必要があります。加盟国は18か月以内に採択された要求事項を国内法に転換します。予定されている多くのサステナビリティ報告ルールについて、順次同様のステップにて施行されていくことが予想されます。企業は法令策定の動向を追跡し、これまでより広範で詳細な法的要求事項に対応しなければなりません。

企業がこれらの変化に遅れず対応する最初の準備として、 自社のEHS法令コンプライアンス情報を確認することが重要です。現在の法令の収集方法やコンプライアンス評価方法は、一貫性があり、検証可能ですか?最新の規制変更をタイムリーに把握できていますか?今後の規制動向を理解していますか?自社のデータは厳格なESG報告基準に耐えられることを確認できていますか?

Enhesaでは、CSRDを含む世界各国のEHS法令情報及びコンプライアンスツールを提供しています。

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